​新年のご挨拶

小笠原協会 会長 渋 井 信 和

   2020年(令和2年)の年頭にあたり、小笠原を愛するすべての皆さまにご挨拶を申し上げます。
 昨年は、一昨年に引き続いて災害の多発した一年でした。とりわけ、10月24日に小笠原を直撃した台風21号は、瞬間最大風速52m以上、母島での1時間雨量220mmと非常に強い風雨を伴った勢力で小笠原を襲い、父島・母島の村内各所に大きな被害をもたらしました。
 私も台風襲来直後の11月3日に、当協会主催の小笠原訪問交流ツアーで母島を訪問いたしましたが、ははじま丸から見た母島の姿に衝撃を受けました。いつものような緑に覆われた美しい姿はなく、木々の葉が殆ど落ち残っている葉や木々も塩害で茶色くなった無残な姿でした。
 母島に上陸して農業者の方々に話を伺いましたが、秋に植え付けたパッションフルーツやミニトマトの苗が壊滅的な被害を受け、これからまた植え直せねばならないが来年は収穫できるかどうか分からない、と心配そうに話していました。

   被災された皆さまには心からお見舞い申し上げますとともに、一刻も早く復旧作業が進むようお祈りいたします。

   小笠原協会といたしましては、今回の台風被害の甚大さに鑑み、台風被害対策のための募金活動を行うことといたしました。台風被害支援金を募り少しでも台風被害に遭われた方々のお役に立てればと思っておりますので、小笠原関係者の皆さまのご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 

   さて、当協会の事業として平成12年以来毎年実施してきた、小笠原訪問交流ツアーが昨年は記念すべき20回目となり、連続20回参加達成者が生まれたり、旧島民2世参加者同士の先祖が直ぐ近くに住んでいてお互い懇意にしていたことが判明するなど、第20回にふさわしい中身の濃いツアーとなりました。
 今年も昨年と同時期に第21回ツアーを実施する予定ですので皆さまのご参加をお待ちしております。
 

   昨年期限切れとなった、小笠原諸島振興開発特別措置法は昨年3月の国会で5年間の延長が決まり、11月には、同法に基づいて東京都において令和元年から令和5年までの小
笠原諸島振興開発計画が策定されました。この特別措置法と振興開発計画における小笠原協会の役割は、「旧島民等に対する小笠原諸島への帰島相談を実施するとともに、機関紙等を通じた小笠原諸島に関する情報提供に努める。」というものです。
 強制疎開から76年もの長い年月が経ち、旧島民の皆さまも高齢化して帰島を希望する方々も少なくなっているのが現実ですが、小笠原協会の原点として、旧島民やその子孫の方々で帰島を希望する方がいる限りは全面的に支援していきたいと考えております。
 さらに、微力ではございますが、振興計画に定められている振興開発事業が円滑に実施されるよう、村や都、国に全面的に協力し小笠原諸島の振興発展に努めていきたいと考えております。
 次に、昨年5月に当協会の主催で、一昨年のロバート・エルドリッヂ先生の講演に引き続き、「硫黄島――国策に翻弄された130年」の著者である明治学院大学教授・石原俊先生をお招きして講演会を開催いたしました。 これには小笠原や硫黄島に興味をもつ方々や研究者の方々など、80人もの参加者が集い、石原俊先生の講演に耳を傾けておりました。3、4年前から、小笠原や硫黄島を研究する研究者の皆さまやマスコミの方々から、当協会が発刊している機関誌「特集号」などへの関心や問い合わせが増えております。現在、多くの研究者の皆さまがそれぞれの立場から小笠原研究を進めておりますが、当協会といたしましては、昨年に引き続き、それらの研究に協力するとともに研究者間の連携を模索し小笠原研究が進展するような施策を考えていく必要性があると考えております。

 また、当協会としていたしましても、小笠原や硫黄島に関する資料の収集、保管を進めこれらの研究が進展するよう努めていきたいと考えております。
関係者の皆さまで、小笠原や硫黄島に関する資料等をお持ちの方はぜひ当協会までご連絡頂きたいとお願いいたします。
 最後になりましたが、今年一年が皆様にとりまして幸せな一年となりますようご祈念申し上げまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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