会長挨拶
公益財団法人小笠原協会 会長 渋 井 信 和
小笠原協会は、昭和22年に設立された小笠原島帰郷促進連盟の帰島運動を引き継ぎ、昭和40(1965)年5月8日に内閣総理大臣から財団法人として認可、設立されました。
以来、旧島民有志の方々を中心に、小笠原諸島への旧島民の帰島と強制疎開を余儀なくされた旧島民の方々の福祉向上等を目指して活動してまいりました。
昭和41年には、初代福田篤泰会長を筆頭に協会幹部が渡米し、米国政府要人に対して直接旧島民の帰島を請願要請するなど、粘り強く幅広い帰島運動を展開した結果、昭和43(1968)年6月26日に小笠原返還という歴史的成果を達成することができました。
さて一方で、昭和19年の強制疎開から80年を経た今日では旧島民の皆さまも高齢化し、帰島される方は極めて少なくなりましたが、協会といたしましてはたとえ少数でも帰島を望まれる旧島民や子孫の方がおられれば全面的にご支援、ご相談に応じていきたいと考えております。
また、硫黄島につきましては小笠原返還から55年が経過した現在でも帰島が叶わないのが現状でありますが、せめて祖先の墳墓の地に自由に墓参ができるよう支援してまいりたいと思っております。
さらにまた、戦後79年が経過し、世代交代が進む中、戦争の悲惨な記憶が忘れ去られようとしておりますが、戦争という悲惨な過ちを二度と繰り返すことがないよう、戦争の悲惨な記憶を保存するとともに社会に対して発信していきたいと思っております。
小笠原は平成23年に世界遺産に登録され、また返還55周年を経てますます発展しておりますが、まだまだ多くの課題を残しております。小笠原協会は微力ではありますが、これからも小笠原の課題解決と発展のために尽力してまいりますので、皆さまの変わらぬご理解とご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。